クマの雑記帳です。

文学、語学、その他諸々についてまったり綴る。

クマでもわかるムージル

 

 はじめに。

 

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今週はこのひと。ムージルさん。

 

オーストリアのクラーゲンフルト生まれのムージルは、26歳のときに『士官候補生テルレスの惑い』(1906)を発表して作家デビュー。

 

ナチスの政権奪取後、スイスに戻った彼は長編小説『特製のない男』の執筆をはじめたものの、この作品はムージルの急死によって未完となる。

 

『士官候補生テルレスの惑い』

 

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将校になるために陸軍実科学校に通っていたムージル

 

この学校にてムージルは、彼がのちに『士官候補生テルレスの惑い』の中で描きだす経験をすることに。

 

この物語は、ある陸軍学校を舞台に繰り広げられる、少年たちの同性愛的な振る舞いを描き出したもの。

 

ある日盗みを働こうとして捕まった美少年ジーは、主人公テルレスの友人たちから性的な罰を受けるようになる。この様子を傍観していたテルレスであったが、次第にバジーニに対してある欲求が芽生え始め…

 

って感じ。

 

彼らの関係が本当にホモセクシャルなものであったかについては、まだ議論の余地があるみたいだけど、なにはともあれ面白かった。 

 

寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫)
 

 

『特性のない男』

 

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第一次世界大戦直前のウィーンを舞台にしたこの作品は、ムージルの名を世界的なものにした。

 

32歳の数学者ウルリヒは、「可能性感覚」という特殊能力の持ち主。

 

(この能力について説明すると、ややこしくなるのでスルーしておきたいところ…。あえてざっくり説明するなら、現実世界の背後に可能性に注目して、現実の枠組みを超えていこうぜっていう考え方。)

 

とにかく、この能力によってウルリヒは「可能的なもの」について考えることができるという。

 

さらに彼は、人々が「特性」と呼ぶようなものを重視することなく、自らを「特性のない男」とみなす。

 

平衡運動と呼ばれる、プロイセン皇帝とオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の即位記念式典の準備計画のなかで、ウルリヒは様々な奇妙な人々と出会っていくが…

 

ナチスの政権奪取後に禁書扱いになってしまう『特性のない男』。

 

1942年にムージル脳卒中を起こしたことにより、未完のまま日の目をみることはなかった。

 

 

 

 

思うことをつらつらと。

 

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もう何年も前の話。

 

交換留学でウィーンに行ったとき、オーストリアの作家が書いたものをドイツ語で読まなきゃ…と本屋で適当に手に取ったのがムージルの『テルリス』。

 

オーディオブックを聴きながら、同時に丘澤訳を参照したりして少しずつ読んでいったけ。

 

結局、読み通すのに数ヶ月もかかってしまって、最初の方の内容なんて覚えてないという事態に。

 

こうやって再びムージルを扱う機会があるとは思わなかったな。

 

あまり読んでこなかった作家についても学べてうれしいこった。

 

最後まで読んでくれてありがとう。